忘れて、思い出して、知る



八課に戻る途中、宙は不安げに遥に言った。
「なあ、遥。本当に寺崎大地は無関係なのかな」


「そんなわけない。津川麻友は自分が指揮を執ったと言っていたが、あれは大嘘だ。寺崎大地をかばっているだけ。どうしてそんなことするのかは理解不能だが」



大地を釈放することが気に入らなかった遥は、とても不服そうだった。



「会社の不正でダメなら、殺人犯として捕まえてやる。覚悟しとけよ、寺崎大地」



そう言った遥の目は狂気を感じるものだった。



それから一週間が経ったが、これといった進展は見られなかった。



「真瀬さん、そろそろ休んでください。ここ最近、ずっと捜査しっぱなしじゃないですか」



だが、栞がいくら休めと言っても、遥は休もうとしなかった。


そればかりか、栞の忠告を聞けば聞くほどやり続けている。



「もう一度津川麻友に話を聞いてくる」



そう言って立ち上がった遥は、足元がふらついていた。