忘れて、思い出して、知る



栞と律はそう言って八課に戻った。



麻友は遥に腕を引っ張られて取調室に入れられても、黙ってうつむいたままだった。



「津川麻友。お前はこのこと知っているか」



遥はパソコンの画面を麻友に見せた。


すると、麻友は首を縦に振った。



「このことを寺崎大地に伝えようと思わなかったのか」


「社長の耳に入れるべきことではないと判断したので。それに、指揮を執っていたのは私ですし」



麻友があっさりと罪を認めたことに、驚きを隠せなかった。


それに加えて、いまいち信憑性が感じられなかった。



しかし、麻友本人がやったと言う以上、大地を捕らえておくわけにはいかなかった。


遥はその足で宙のもとに行き、大地を釈放するように言った。


部屋を出た大地は遥の顔を見て、勝ち誇ったような顔をする。



「俺じゃないって言っただろ? 俺、無関係だから」



そして大地はそのまま署を出て行った。