宙も栞たちについて行こうとすると、遥に呼び止められた。


せっかく行動しようとしたのを止められた宙は不服そうに顔をしかめる。



「なんだよ」


「火神さんは寺崎大地を見張っててください」



また簡単な仕事を割り当てられたと思った宙は、心の底から嫌そうな顔をする。



「あいつは間違いなく演技をしている。岡本たちの話によると、あいつは短気で暴力的。そんな奴があんな態度をとるのはおかしい。寺崎大地は脱走のチャンスを見計らっているはず」



遥の推理に、宙は納得する以外なかった。



「そこで、火神さんの出番です。力で火神さんの右に出る者はいない。そういうわけで、お願いします、火神さん」



滅多に褒めてこない遥に褒められた宙は気分をよくし、遥に言われた通り、取調室の前で立つことにした。


遥が心の中で単純と思ったことは、絶対に宙には言えない。



そして一時間後、栞と律が秘書の津川麻友を連れてきた。



「二人ともご苦労様。あとは俺がやるから、八課に戻って殺人事件の捜査、進めといてくれ」


「了解」


「ちぇ、いいとこ取りかよ」