数時間後、取調室で遥と大地は向かい合って座った。
二人の相性が悪いのか、睨み合う時間が長い。
「ねえ刑事さん。俺なにか悪いことした?」
「なにもしてないって言い切れんのか」
「もちろん」
「これを見ても?」
遥はそう言って、パソコンの画面を大地に見せる。
それを見た大地は目を見開いた。
「なにこれ、俺の会社じゃん。え、待って、こんなことしてない。誰がこんなの……」
大地はしらじらしい態度を取った。
だが、こうなるだろうと予想していた遥はそこまで驚いていなかった。
「つまり、お前はなにも知らないと?」
「知らない。うちの会社は普通の証券会社。悪いことなんてしてない」
大地が真顔で言うため、遥はそれ以上探ろうとはしなかった。
「そうか」
「信じてくれた? じゃあ早くここから出してよ」



