眠らせ森の恋

 はあ? と言う奏汰に、
「ところで、今日はなにをお呑みになりますか?」
と訊くと、

「酒はいい」
と言う。

 ええー? という顔をすると、あの鋭い眼光でこちらを見、
「何故、俺に酒を勧める?」
と訊いてきた。

 さっさと寝て欲しいからです。

 ――と口に出来たら、どんなにいいことか。

「いえ、お疲れかと」
と適当なことを言うと、

「そうだな。
 今日は疲れてるからもう寝る」
と言い出す。

 ええーっ? と思ったが、

 いや、待てよ。
 疲れているのなら、ひとり静かに寝るだろう、と思い、にんまり笑う。

「お風呂、いい湯加減ですよ」

 そう言うと、胡散臭そうにこちらを見ながら、
「そりゃ、機械が調節してるからな」
と言ってきた。

 ……本当に可愛くない男だ。