結局、二人で書店でウロウロして、また何処に行くかで少し揉めてから、奏汰の行きつけレストランで食事をし、帰ってきた。

 普通に楽しくないこともなかったな、と思いながら、つぐみは、こっそり買った料理の本などを自分の部屋に隠す。

 食事は明日からは自分が作るようだ。

 レパートリーが多くなくて、困っているところを知られたくない、と思っていた。

 ちょっとした乙女の恥じらいだ。

 父親と話していたのを小耳に挟んだのだが、社長の家は仕事の付き合いで建てたばかりらしく、まだ新しい。

 いや、しばらくの間とはいえ、自分が過ごす家のことを小耳に挟んだだけ、というのも問題がある気がするのだが。