急になにか主張し始めたぞ。
久しぶりに始まったつぐみの演説。
奏汰は、見るからに一生懸命、という風情で語るつぐみを面白おかしく眺めていた。
しかし、何故、コタツで此処まで頑張る……。
貴方、お父様と私とどちらを取るんですか、というくらいの勢いだ。
「奏汰さん、結婚するとき、ともに手を取り合い、新しい家庭を作っていこうと言ってくれたではないですかっ」
ま、確かに言ったが。
「今まで育ってきた環境が違うので、衣食住に対する考え方が違うのも当然です。
だから、お互いの意見をすり合わせながら、この家のルールを作っていくべきだと思いますっ」
いや、お前、すり合わせる気、全然ないだろ。
よく考えたら、リビングにコタツがあっても、自分が入らなければいいだけの話なので、最早、どっちでもいい気もしていたのだが。
一生懸命語るつぐみの姿が微笑ましかったので、黙って眺めていた。



