「俺はコタツに入らなかったから、第一志望の大学に合格できた」

「……違うと思います」

 三つ子の魂百までとは言うが、最初の刷り込みって恐ろしいな。

 我が子のときは気をつけよう、とつぐみは思った。

「奏汰さんっ」

 此処で言い負かされたら、一生リビングでコタツに入れないっと思ったつぐみは、頑張って主張し始める。

「コタツに入ってはならないというのが、父の教えなら、冬はコタツというのが、妻の教えですっ」

 言いながら、妻の教えっておかしいな、と思っていたのだが、今、引くわけにはいかない。

「奏汰さん、結婚するとき、ともに手を取り合い、新しい家庭を作っていこうと言ってくれたではないですかっ。

 今まで育ってきた環境が違うので、衣食住に対する考え方が違うのも当然です。

 だから、お互いの意見をすり合わせながら、この家のルールを作っていくべきだと思いますっ」