食事のあと、奏汰は、せっせとセーターを編んでいるつぐみの横に座り、ニュースを見ていた。

 こちらを振り向きもしないつぐみを見下ろし、言う。

「つぐみ。
 お前、お前の好きな江戸時代にもカクテルがあったの知ってるか?」

 えっ? とつぐみは顔を上げた。

 一生懸命編んでいる様子が可愛らしくもあるんだが……。

「教えない」
と言い、立ち上がると、ええっ!? とつぐみは編み棒をつかんだまま、声を上げる。

「風呂入ってくる」

 本当に教えないまま、つぐみを置いて風呂場に消えると、

 ええーっ!?
とつぐみが叫んでいるのが扉越しに聞こえてきた。

 笑いをこらえ、湯に浸かる。