「おかーさん、奏汰さんはね」
「いやいや、つぐみなんて」

「あら、お父さんなんてね」

「待て、何故、お前まで混ざっている」
と父親が母親を止めていた。

「お父さん、つぐみは、夕食のレパートリーが切れたからって、いきなりフランスの宮廷料理を」

 わあわあ揉めている自分たちを見て、滅多に笑わない父親が、何故か珍しく笑っていた。