うちは駄目でもなうちにお父さん達が来ましたよ、と思いながら、つぐみは玄関で奏汰とともに、父親たちを出迎えた。
「お父さん、いらっしゃい」
どうぞ、と奏汰の方がさっとスリッパを出す。
うっ。
出来るなっ、と思ったとき、奏汰がこちらを振り向き、ふっと笑った。
何故、勝ち誇る……。
「どうぞ、お父さん、お母さん、お昼用意してますから」
若い男前の婿に出迎えられた母親は、あら、まあまあ、とちょっと頬を赤らめ、嬉しそうだった。
奏汰が二人をリビング兼ダイニングに通すと、
「あら、素敵」
と母親が声を上げる。
完璧にテーブルがセッティングされていたからだ。
「はい、つぐみがやったんです」
と奏汰は花を持たせてくれるが。
嘘です、奏汰さんがやったんです……と思っていると、父親がチラと、綺麗に形作られた桜色のナフキンを見ながら、
「つぐみの仕事じゃないな」
と呟いていた。
うっ、さすが親っ。



