眠らせ森の恋

「脈が乱れているときはレム睡眠だそうです」

 今、起きてるだろうが……。

「そして、これが安眠のツボです」
と手を伸ばし、耳の後ろに触れてくる。

 そのまま、ぐりぐりツボを探し始めた。

 なにをするっ! と思ったが、つぐみは、
「あれ?」
とか言いながら、本を広げて見つつ、また耳に触ってくる。

 いや、正確には耳の後ろなのだが。

「尖った骨のちょい下。

 ――ん?

 後ろからやった方がいいのか」
と後ろに回り込み、今度は、

「首を包み込むようにして、押す」
と両手で触れ、

「ゆっくり撫でるように、押す」
と指先でやわらかく押し始める。

 ぞわっと来るからやめろっ!

 襲われたいのかっ! と思っていたが、なんだか言うと負けなような気がして言えなかった。