眠らせ森の恋

 



「あっ、ほっ、ほどほどにしときますっ。
 おやすみなさいーっ」
と半分立ち上がり、手を振るつぐみを見ながら、奏汰は、……殴るぞ、と思っていた。

 飼い犬がちぎれんばかりに尻尾振っているような愛想の良さだが、要するに自分に触らずに寝てくれると思って、機嫌がいいだけじゃないか。

 寝た隙に襲ってやろうか、と思いながら、螺旋になっているリビングの階段を上がる。

 つぐみは、
「おかしいなー」
と言いながら、まだパソコンを打っていた。