「つぐみーっ」
と常になにかを企んでいる危険な婚約者の名を呼び、扉を開けた。
ひゃーっ、とつぐみは脳天から突き抜けるような悲鳴を上げて逃げる。
「でっ、出てこないでくださいーっ」
だから、お前、ほんとに婚約者なのか、と思いながら、つぐみが置いて逃げたグラスを見下ろす。
なにか入れていたようだが。
まさか毒じゃあるまいな、と思いながらも、ひょいと呑んでみた。
何故、呑んだのかと問われたら、よくわからないが、この得体の知れない女をいつの間にか信用していたからかもしれない。
脱衣場のオレンジがかった光に輝くグラスを見、
「……美味いじゃないか」
と言うと、つぐみが物陰からひょいと顔を出し、
「ブランデー入れたんです」
と言う。
そして、さっと消え、
「安いワインにブランデーを少し垂らすと、味に深みが出るらしいですよ」
と物陰から言ってきた。
と常になにかを企んでいる危険な婚約者の名を呼び、扉を開けた。
ひゃーっ、とつぐみは脳天から突き抜けるような悲鳴を上げて逃げる。
「でっ、出てこないでくださいーっ」
だから、お前、ほんとに婚約者なのか、と思いながら、つぐみが置いて逃げたグラスを見下ろす。
なにか入れていたようだが。
まさか毒じゃあるまいな、と思いながらも、ひょいと呑んでみた。
何故、呑んだのかと問われたら、よくわからないが、この得体の知れない女をいつの間にか信用していたからかもしれない。
脱衣場のオレンジがかった光に輝くグラスを見、
「……美味いじゃないか」
と言うと、つぐみが物陰からひょいと顔を出し、
「ブランデー入れたんです」
と言う。
そして、さっと消え、
「安いワインにブランデーを少し垂らすと、味に深みが出るらしいですよ」
と物陰から言ってきた。



