どうしたんだ、つぐみ。
 珍しく気が利いているじゃないか。

 奏汰は風呂場にワインを持ってきたというつぐみをガラス扉越しに見ていた。

 少し扉を開けただけで、つぐみは赤くなり、俯いてしまう。

 こういうところが可愛いといえば、可愛いんだが……。

 警戒しすぎだろう。

 なにも出来ないじゃないか、と思っていると、つぐみは、
「では、注ぎます」
と言う。

 こぼすんじゃないか? こいつのことだから、とすりガラス越しに何故か緊張して、その様子を窺っていた。

「何故、扉を閉める。
 見えんぞ」
と言うと、つぐみは、

「お、音をお楽しみください」
と言ってきた。

 とくとくとくとくとく……

   ……ぽちゃん

 今のぽちゃんはなんだーっ、と立ち上がる。