「そ、そんなに私が必要なら、......結婚してあげてもいいわよ」


小さく手を握り返すと、秋人はありがとうとくすりと笑う。


やっぱり、秋人には敵わない。

他人から見たら、秋人が弱い立場で下手に出てるように見えるかもしれないけど、本当は全然違う。

秋人は、怖いくらいに私をどう扱えばいいかを良く心得ている。本当は、いつだって秋人の方が一枚も二枚も上手なんだ。

きっと、秋人には一生敵わないんだろうなと思いながらも、きれいな夜景の下でこっそりと幸福に浸った。



おしまい。