一点の染みもない寝心地の良いベッドに、もちろん毎日洗濯してある清潔なシーツ。

朝は何も言わなくても食べたいものが用意されていて、それから、お手伝いの人が私の髪をとかしてくれる。

エステにネイル、美容院。
何不自由ない生活に、選ばれた人たちとのセレブなパーティー。
みんなが私をちやほやして、羨ましがられる。

それが、私の日常であり、ごく普通の光景だった。





今日はカリカリに焼いたベーコンと、スクランブルエッグが食べたいわね。少しだけミルクを入れたコーヒーをつけて......。

起きたての頭でそんなことをぼんやりと考えていたけど、そこまで考えたところで私は気づいてしまった。

そんな日常はもうないんだ、と。
今では、私が「家政婦」「お手伝いさん」じゃない。
 
この私が、誰からも羨ましがられ人を使う立場だったこの私が、今では人から使われる立場だなんて......!

この絶望は何度味わっても慣れないわ。