一途な小説家の初恋独占契約




当初、夕方までの予定だった取材は、多数の申し込みをジョーが退けなかったこともあり、夜が更けるまで続けられた。

「先生は、どうぞ先にお帰りください。窪田は、まだちょっと残って」

直島さんの呼びかけに、部屋を出ようとしていたジョーは、また腰を下ろした。

「僕も、終わるまでいるよ」
「いえ、お気になさらずに」

直島さんが促しても、ジョーは動く気がないようだ。
私が終わるまで、待っている気だろう。

「……それじゃあ、急いで終わらせますから」

何とか取り繕って、慌ててホテルの部屋を明け渡した。

三人で部屋を出ても、ここからがまた問題だ。

「窪田も会社に戻るだろ?」
「いえ、私は直帰でいいから、ジョー先生を宿泊場所まで送るようにと言われていますから」
「それなら、俺が先生を送るよ」
「いえ、大丈夫です。今日は、ありがとうございました」

普通なら、男性の作家さんの宿泊場所へ行くのだから、男性の直島さんに頼むのが自然なのかもしれない。

でも、ジョーが泊まっているのは、私の家だ。
それを知られるわけにはいかない。

何とか誤魔化して、電車で戻る直島さんと別れ、ジョーと二人でタクシー乗り場に向かった。

「先生、お荷物は私が持ちます」
「僕の荷物を、汐璃に持たせるわけないだろ。それに、先生と呼ぶのは、もうやめてくれ」

こうした場に不慣れな私は、何が正解なのかも分からない。

結局、自分のカバンだけ持ってホテル内を移動していると、スッと人が近寄ってきた。

「お疲れのところ、大変失礼致します。ジョー・ラザフォード先生でいらっしゃいますね?」

長い髪が緩いウェーブを作っている。
身体にフィットしたスーツに身を包んだ、きれいな女性だった。
20代後半くらいだろうか。
顔もスタイルも、恐ろしく整っている。

私たちの足を留めることに成功した彼女は、にっこりと笑って見せた。