一途な小説家の初恋独占契約

「ジョー。今、直島さんが言ったのはデタラメ。会社から契約のことを言われていたのは本当だけれど、あなたと一緒にいたのは、それが理由じゃない!」
「……汐璃……」

ジョーは、半信半疑と言った調子で、私を見つめている。
どんな些細なことも見逃さないように。

私も同じように見つめ返す。

「でも、契約条件のことは許せない。どうして、そんなことを言ったの?」
「……誤解があるようだが、ここではゆっくり話せそうにない」

ジョーに促されて辺りを見回せば、遠慮がちながら周囲から視線が集まっている。
ホテルの人も、こちらに声をかけるべきか迷っているようだ。

ただでさえ目立つジョーだ。
顔も知られつつある今、観客がいる場で揉めるのは良くない。

「汐璃の会社へ行こう。僕だけが説明するより、会社側の意見も聞いた方がいいだろうから。……キミも来るんだ」

会社側の見解なら、ここでも直島さんがいるのに。

そう思ったものの、単に場所を移したいのかと思い、ジョーに従ってタクシーで会社へ向かった。

直島さんは嫌がっていたが、ジョーが離さず、後部座席に連れ込まれていた。