一途な小説家の初恋独占契約

「……さっき、大塚出版の鎌石さんが、ジョーの部屋に来たんでしょう? 二人でいたんでしょう!?」

呆然と私を見下ろしていたジョーは、ハッと何かに気づいたように「それでか……」と呟いて、片手で顔を覆った。

その手を振り下ろすと、私の肩に載せる。
振り払おうとしても、がっちりと肩を掴まれていて離れない。

ジョーの全身が乗っかったように肩が重たい。
いつもは、体重をかけないようにしてくれていることがそれで分かって、堪えていた涙が零れそうになった。

「確かに彼女は来たけれど、部屋には入れてないよ」
「……え?」
「僕一人しかいなかったし、ちょうどシャワーを浴びていて出られる状態じゃなかったから、ドア越しに話しただけで帰ってもらった」
「でも……」

鎌石さんは、ジョーと何かあったようなそぶりだった。

でも、よくよく思い返してみれば、鎌石さんにも直島さんにも決定的なことを言われたわけじゃない。

……何を信じればいいんだろう。

私の肩に乗ったジョーの手に、力が込められる。

「証明するよ」

直島さんがこれ以上危害を加える気がないのを確認し、ジョーは、私をフロントに連れて行った。

「大塚出版の鎌石氏が、こちらに書類を預けたはずですが」

そう言って、部屋の鍵を見せる。

「はい。早見様へ、こちらをお預かりしております」
「ありがとう」

大塚出版の名入れ封筒が、ジョーの手に渡る。
中を確かめると、少し離れてこちらの様子を窺っていた直島さんの下へ戻った。

「僕が会わなかったから、フロントに預けておくと彼女は言ったんだ。受け取るつもりもなかったんだけどね。これで、僕がドアさえ開けなかったことを、信じてもらえたかな? 何なら、防犯カメラでも見せてもらえばいい」

ジョーの指先が、私の肩から腕へと滑る。
その指が震えている気がして、益々混乱する。