ジョーは、納得していない様子で、ボソボソと続ける。

「アメリカに戻ってから、空手も習ったよ。もう止めてしまったけど」
「そうだったんだ」
「でも、僕は日本で浮いてるね。日本人は、細いから……」

ジョーは、私を抱いたまま器用にドアを開け、私をベッドに降ろした。

「ジョーは、素敵だよ。昨日言ったはず」
「……うぬぼれるよ、僕」
「うぬぼれじゃないよ。ジョーは、かっこいい」
「……こんなところで、そんなこと言わないで」

寝かせた私に覆い被さるようにして、ジョーは私を抱き締める。
首にあたるジョーの吐息が熱い。

どうしよう……。
この先を求められたら、私はどうするんだろう……。

ジョーは、顔を上げないまま、首筋にキスする。
鋭敏な感覚が甘く身体を迸って、戸惑いに体が揺れた。

それを押さえ込むように、ジョーの拘束は益々きつくなる。

「……んっ」

耳のすぐ下にキスされて声が漏れるのと、早起きをしたために解除していなかった目覚ましが鳴るのは同時だった。

「……」

ゆらりと起き上がったジョーが、息を詰めて私を見下ろす。

荒々しく胸を上下させた私をじっと見つめてから、ふいに顔を逸らし、アラームを止めた。

「……外に泊まれるよう、荷物をまとめておいて」
「うん。あの、ジョー……」
「また、目覚ましに汐璃は救われたけど……それ以上喋ったら、もう僕は止められないかもしれない」
「……ッ!」

力なく部屋を出たジョーは、ドアを跨いだところで振り返った。

「早く汐璃と、朝を一緒に過ごしたいよ」

私に負けず劣らず頬を赤らめたジョーは、それでも艶やかに笑って見せたのだった。