「取材は、本当。僕のヒロインは、汐璃しかいないって言っただろう?」
それでも、言わずにはいられなかった。
段違いのヒーローの胸に飛び込むには、平凡な私の体中に重たいおもりがつきすぎている。
「手紙では、何も言わなかったのに」
「だって、汐璃は僕のことなんか、何とも思っていなかっただろう? 中学生のときに、それはもう分かっていたからね。余計なことを言って、文通を止めたくなかった」
そう言われてしまえば、頷かざるを得なかった。
中学生の私は、ジョーに好意は持っていたけれど、しっかりした恋愛感情なんて持ってなかったのだから。
「手紙だけで、電話もメールもしなかったくせに」
「一度してしまえば、止められないと分かってたから。汐璃は、好きでもない男と、毎日連絡なんてしないだろ? それに、僕だって、汐璃からボーイフレンドの惚気話なんて聞きたくなかったからね」
「……手紙だと、恋バナを催促してきたくせに」
「そりゃ、気になるよ」
ジョーは、悪びれずに微笑む。
私が何を言っても、ジョーは鷹揚に打ち返してしまう。
「一度も会いに来なかったのに」
「高校生までは、お金がなかったから。大学生になって、執筆でいくらか稼げるようになったけれど、今度は忙しくなってしまった。
それに、僕は女性向けの恋愛小説なんか書いていたから……汐璃に読んでほしくて書いたものの、それを書いたのが僕だと知ったら、どう思われるのか怖かった。汐璃の前に現れても恥ずかしくないと思えるまで、会いに行けなかった」
甘えにも似た私の戯言にも、誠実に答えてくれる。
「それに、汐璃だって、会いに来てくれなかったじゃないか」
「大学生になったら、会いに行こうと思ってたの。でも……そんな余裕は、なくなっちゃったから」
大学1年生のときに、父が会社を解雇されてから、経済的にも時間的にも切羽詰っていた。
ジョーに会うのは、社会人になってからの目標へと先延ばしされてしまったのだ。
それでも、言わずにはいられなかった。
段違いのヒーローの胸に飛び込むには、平凡な私の体中に重たいおもりがつきすぎている。
「手紙では、何も言わなかったのに」
「だって、汐璃は僕のことなんか、何とも思っていなかっただろう? 中学生のときに、それはもう分かっていたからね。余計なことを言って、文通を止めたくなかった」
そう言われてしまえば、頷かざるを得なかった。
中学生の私は、ジョーに好意は持っていたけれど、しっかりした恋愛感情なんて持ってなかったのだから。
「手紙だけで、電話もメールもしなかったくせに」
「一度してしまえば、止められないと分かってたから。汐璃は、好きでもない男と、毎日連絡なんてしないだろ? それに、僕だって、汐璃からボーイフレンドの惚気話なんて聞きたくなかったからね」
「……手紙だと、恋バナを催促してきたくせに」
「そりゃ、気になるよ」
ジョーは、悪びれずに微笑む。
私が何を言っても、ジョーは鷹揚に打ち返してしまう。
「一度も会いに来なかったのに」
「高校生までは、お金がなかったから。大学生になって、執筆でいくらか稼げるようになったけれど、今度は忙しくなってしまった。
それに、僕は女性向けの恋愛小説なんか書いていたから……汐璃に読んでほしくて書いたものの、それを書いたのが僕だと知ったら、どう思われるのか怖かった。汐璃の前に現れても恥ずかしくないと思えるまで、会いに行けなかった」
甘えにも似た私の戯言にも、誠実に答えてくれる。
「それに、汐璃だって、会いに来てくれなかったじゃないか」
「大学生になったら、会いに行こうと思ってたの。でも……そんな余裕は、なくなっちゃったから」
大学1年生のときに、父が会社を解雇されてから、経済的にも時間的にも切羽詰っていた。
ジョーに会うのは、社会人になってからの目標へと先延ばしされてしまったのだ。



