あたしの涙はとどまることを知らなくて、一体どのくらい泣き続けたんだろう…
ずっと無言でコーヒーを啜っていた先生は突然口を開いた。
「お前、今日は甘いの持ってないの?」
「え?どういうこですか?」
思わぬ質問に、ようやく涙が止まった。
「だって、よくあいつにあげてただろ?お菓子。」
「あー・・・」
「あいつ、甘いの苦手なくせにお前から貰ったものだけは絶対誰にも渡さないんだよ。」
「へ?」
それは初耳だった。
甘いの、苦手だったの?
だっていつもあたしに付き合ってスイーツ食べに行ってたじゃん。
あたしが作ったお菓子、なんだかんだ言って食べてくれてたじゃん。
無理…してたの?
「お前が喜ぶなら、苦痛じゃなかったんだろうな。」
春樹のバカ。
やっと涙が止まったのに、また出てきちゃったじゃない。
「だからもし癖であいつの分持ってきたら、これからは俺が貰うからな。」
先生のその言葉に、つい笑ってしまった。
「ふふ。先生って実は甘党だったんですね。」
「“実は”じゃねぇよ。大っぴらに公表してるっつうの。お前が知らなかっただけ。」
「じゃあ覚えておきます。」
笑顔で返すと、
「ようやく笑ったな。」
先生もつられるように笑った。
「男ってのはな、好きな女には笑っていて欲しいんだよ。だからそれ、忘れんなよ。あいつの為にも。」
「はい…」
泣けと言ったり笑えと言ったり…
あたしはどんな顔をするのが正解なのかわからなくなってきた。

