「……温泉? 本当に?……二人だけで?」 「ああ…」 照れ隠しのようにぼそりと答えるのに、 「ありがとう…」 と、ギュッと抱きついた。 ずっと忙しそうだった部長が、自分のためにそんな風に時間を取ってくれたことが、とても嬉しかった。 ……同時に、無理をしてくれたんじゃないかとも思う。 「……大変だったでしょ?」 訊くと、 「……たまには、いいだろ」 と、優しげに笑って、手の平で頭を撫でられた。