「これを、あなたが作ったの?」


妻は目を見開いてそう聞いて来た。


木工をやっていたことは話していたが、実物を見せたのは初めてだったかもしれない。


今日家に帰ってから押入れの中を探して見つけ出したのだ。


いつかまた始めるかもしれない。


そんな思いが過去の幸太郎にもあったのだ。


「すごいじゃない!」


木製の筆箱を開けたり閉じたりして妻が言う。


「そうか? でも、それは簡単に作れるんだ?」


「簡単に? あなたが1人で作れるの?」


「もちろんだよ」