表面がツルリとしていて、よく磨かれている。


しかしニスなどは使っていないようで、木どくとくの味わいがそのまま生かされていた。


劣化は早いのかもしれないが、触れた時の暖かさが違った。


子供の成長は早いから、オモチャの劣化が早くてもさして問題ないからだろう。


「よく考えてあるなぁ」


そう呟いた時、レジにいた店員に「よかったら、お孫さんにいかがですか?」と声をかけてきたので、慌ててその場を後にした。


買ってやりたい気はあるけれど、無職の幸太郎がこんな高級なオモチャを買って帰るわけにはいかない。


幸太郎は本来の目的を思い出し、求人情報誌だけを購入して店を出たのだった。