もしかしたらタエは恋人にタヌキを選ぶかもしれないという予感もあった。


いや、きっとそっちの可能性の方が高いだろう。


そう考えると、友に勝ち目などなかった。


友がジッとタエのシッポを見ていると、タエが不思議そうに首を傾げた。


その瞬間、シッポが引っ込む。


「いつもの定食を頼むよ」


友がそう言うと、タエは仕事の顔つきに戻り「では、お好きな席にどうぞ」と、友へ向けて言ったのだった。