それから、試験までずっと安藤に分からないところを教えてもらった。
「──ってことだから」
「待って、もう1回お願いします」
「ゆっくりでいいよ。これむずいし。
ここは───」
「あっ! 分かった!!」
安藤の教え方は上手い。
あの眠くなる先生の説明よりずっと上手い。
「安藤、あたしの勉強に付き合っちゃっていいの? 自分の時間もある?」
「ううん。俺試験勉強はあんましないタイプだから」
「はい……?」
「毎日、2時間はやってるから」
「それで、成績とか聞いてもいい?」
「聞いて驚くな。
中学の時は毎回5番以内だったぜ」
待て待て待て。
それ、試験前の一週間なんていらないって言ってるようなもんじゃん!
「いくら努力家とはいえ……その頭脳あたしにちょうだい!!」
「いや、清家の要領の良さもすごいぞ」
「待て待て待て。安藤、大丈夫……?」
あたし、なっちゃんに呆れられたんだよ?
4回以上説明されても理解できなかったんだよ?



