「もーう!!!
絶対に久我くんを抜かしてみせるんだから!」



「……頑張ってね」



「はい! 頑張ります!!
……ってことでじゃーね~!!」



久我くんの応援ボイスも聞けたことだし。


家にも着いたことだし。


あたしは家のドアを開けようとしたら……



「彩葉!」


「ママ? どうしたの?
あ、ただいま~」



ママが切羽詰まった顔で現れて、あたしは疑問を持ちながらもそう言う。



「何呑気にこんな遅くまで何やって
……ってこちらの方は?」


「初めまして、えっと、久我 恭弥です。
今日はせ……彩葉さんを遅くまで申し訳ありませんでした!!」


「はぁわわわ……!!
久我くんが名前を……!!」


「ちょっと彩葉黙りなさい」



ママの声が低かったので、ビビって思わず口を閉じる。



「まさかこんな残念な彩葉に彼氏が「違います!!」



久我くん、全力で否定しなくても……!



ママも「そうだよね~」って納得するんじゃない!!