「俺も降りる」
「え……?」
久我くん、どう考えたってここが最寄りじゃないはず。
そう考える内に、電車のドアが閉まって、次の駅に向かっていった。
「え、行っちゃったよ……?」
「もう6月とはいえ、ちょっと暗いから親が心配するよ」
放心するあたしを置いて「行こう」と言って、先に階段を降りる久我くん。
「……ちょっと待って!」
あたしも慌てて追いかける。
ねえ、それってつまり……
送ってくれるって捉えていいの?
「久我くん、あの……」
本当に改札通ちゃった……。
「なに?」
「……ありがとう」
「どういたしまして」
やっぱり久我くんは優しいな。
もっと好きになっちゃったよ……。



