「今日はここまでにしよっか」
そう言われ、時計を見る。
あっ、もう6時なんだ……。
あれ以来、久我くんボイスは一度も聞けなかった。
悔しい……明日こそ!
「そっか、今日はありがとう」
「まさか清家さんがそこまで出来ないとは思わなかったよ」
「あはは……」
学校から出ると、あたしと反対方向のはずがあたしと同じ道で歩く。
「え……? 久我くん?」
「古典で"いみじく"の意味は?」
「え!? うーん……なんだっけ?」
「もう忘れたの?」
あたしは真の鳥頭だと思う。
勉強に関してはすぐに忘れちゃうから。
でも、
「じゃあ、酸素原子一個の酸化数は?」
「-2!」
「なんでそれは覚えてるの……?」
化学はレオ君の苦手科目だから。
レオ君を教えるっていうイメージで化学やったら頭に入ったんだよね。



