「頑張れー青組!!」


あたしも応援団。


全力で応援しないとっ!



『頑張って』


不意に久我くんのボイスを思い出す。



「……っ」


あーあ、やっぱりかっこいい。


久我くんも今そんなかっこいい声で応援してるのかな。


耳を澄ませたけど、こんなたくさんの声じゃ、気づけないよ。



「清家?」


「あっ、安藤。安藤も最後くらい応援しないと! 同じサッカー部の人もリレー出るんでしょ?」


「あ、うん、そうだな」



高校初めての体育祭も最後になった。


あたしだってやれることをやらなきゃ!



今は久我くんの声は忘れよう。



『頑張って』



忘れよう


忘れよう



パァンっ!


『今始まりました。
お、赤が速い! 青も負けていません!』



「頑張れー!!!」



ピストルの音が鳴り、リレーが始まった。