「けど、これからも声を聞かせてくれませんか?」
「結局そっち行くんですね……」
だって!
振られたからもう声聞けないなんて嫌だ!
ってあれ……。
あたしは失恋したってこと……?
気づいた途端に、傷心してしまう。
でもそっか、いきなりだったもんね。
知らない相手だったあたしに真摯に答えてくれるだけでも嬉しいって思わなくちゃ。
「まあでも、友達からなら」
「えっ……いいんですか?」
「はい。付き合うはできないんですけど、友達なら大丈夫です」
そう言って久我くんは手を差し出した。
これは、握手ってことでいいのかな?
あたしはそう判断して汗ばんでない方の手を伸ばして、ぎゅっと握った。



