「いた……」
久我くんは分厚い本を片手に男子に囲まれていた。
久我くんの頰が赤く染まってるが、とても嫌がっているようにも捉えられる表情。
その表情に気になりながらも久我くんの方に近づいた。
「……久我くん」
久我くんは視線をこちらに向ける。
「おっ、噂をすれば清家さんじゃん!!」
「ヒューヒューっ!」
「久我、頑張れよ!!」
周りの男子が久我くんを冷やかして、久我くんの背中を押した。
「わっ……」
久我くんと至近距離になってあたしは思わず距離を取る。
「あの……何か用ですか?」
うわぁ……!!
こんな素晴らしい声をイヤホン通さなくても聴けるんだ!!
「あの、昨日はありがとうございました!
おかげでご飯ちゃんと食べれました!」
野口さんが入った柄付き封筒を久我くんに渡した。
「あ、わざわざありがとうございます」
「……っ!!」
やっぱり、耐性つくまで興奮が止まらないそうです。
「あの」
「は、はい! なんでしょう?」
ドキドキしながら、久我くんの言葉を待つ。



