話がだんだん盛り上がって、あたしが頭に思い浮び始めたのはバレンタインのことだった。



「あのさ……」


久我くんはあたしを静かに見つめる。


今ならバレンタインのこととか聞いても大丈夫かな?



「バレンタインで久我くんにチョコ渡したいんだけど……どんなのがいいかな?」


「え、チョコ?」



久我くんはきょとんとする。



「うん。久我くんにあげたいんだけど……ダメかな?」


「……っ、ダメじゃない、けど……」


「良かった!」



あたしは思わず安心した笑みを浮かべた。



「どんなチョコが好きなの?」



そうと分かったら、早速久我くんに聞き込み調査。



「うーん、甘過ぎなければ何でもいいよ。極端な味は苦手なんだ。
甘いチョコに生クリームとかはやめてほしいな」


「あ、それよくわかる」



あたしも苦すぎるのも甘すぎるのも苦手。


だったらあたしの好きなチョコとナッツのクッキーでもいいかな……。


だけど、せっかくなら凝ったものを作りたいな。