「清家さん?」


久我くんは驚く表情をする。



「じゃあチョコ楽しみにしてね♪」



小波さんはにっこり笑みを浮かべて、久我くんから離れていった。


だけど、それと一緒にあたしのことをこれでもってくらい鋭く睨み付けた。


……うわ、怖っ。



あたしは気にしないことにして、久我くんに近づいた。



「珍しいね。俺の教室に来るなんて」


「この本返しにきたの! 面白かったよ~」


「あ、わざわざありがとう」


「あたしね途中であったこのシーンがすごく面白いなって思って何度も読んじゃった」


「あそこね。面白いよね。
俺も結構そこの部分は何度も読んじゃった。同じだ」



同じ……。


なんか嬉しい。



「清家さんってどんなジャンルの本が好きなの?」


「あたしは、ジャンルとかは何でも大丈夫だよ。強いて言うなら勇気づけられる本かな」



「なんか意外。勇気づけられる、か……。
何かいいのあったら持ってくよ」


「本当? ありがとう!
あたしもマンガしかないから、マンガ持ってくるね!」


「楽しみにしてる」



意外って呟いたのは聞いてなかったことにしよう。