数日後のことだった。


借りてた本を返そうと久我くんのクラスに訪れると久我くんは席で静かに本を読んでた。


だけど……



「ねえねえ、恭弥くーん」


「……何?」


「私、このチョコを作ろうとしてるんだけど~」



久我くんの周りにいるこの女子が気になってしまう。


彼女は小波さん。


2組の中では、小悪魔のマドンナとも呼ばれて、小波さんのターゲットになった男子は必ず惚れてしまう……っていうまるでマンガにいるような女子。


そして今回のターゲットが久我くんになってしまったみたい。


中学からの友達であるのんちゃんからそう聞いた。


更に今まで遊びでそういうことをしたんだけど、今回は本気だという噂がある。



もし久我くんが小波さんのことが好きになったら……たまったもんじゃない。



いつから好きになったのは知らないけど、



久我くんを一番好きなのはあたしだ!



というのを謎に誇れるけど、友達でいる今、邪魔なんてことは出来ない。



『久我くんって最近モテ始めたんだよ』



ふといつしか誰かが言った言葉を思い出す。


……小波さん以外にも久我くんを好きっていう人がいるなら──



「久我くん!!」



そんなの考えたくない。



過ぎるものを追っ払いながら、久我くんに話しかけた。