「いたっ」
「プニプニなほっぺが悪いんです~!」
「なんだよそれ」
……本当に久我くんは変わった。
笑顔が輝きすぎて息止まるかと思ったし。
「あ、そろそろチャイムなるね。
マンガ読んだら返すね」
「あ、うん! 本ありがとうね!」
久我くんはあたしの言葉に頷いて、教室から出て行った。
「彩葉ちゃん! 今の結構脈あるんじゃない!?」
「なっちゃん! それはないよ!」
一部始終を見ていただろうなっちゃんはあり得ないことを言ってくる。
友達の関係が一番心地いいって言われたんだし……それはないって。
でも……嫌われてはないはず。
久我くんは嫌いな人とは話したくないって思うはず。
中間テストの時はあたしのことが嫌いだったけど、心変わりしてくれたと信じたい。
「彩葉ちゃんは肝心なところが鈍いの!」
「え! いやいや、なっちゃんも十分に鈍いって!」
まずなっちゃんは天使であることを自覚しなきゃいけないのに。
「彩葉ちゃんは可愛いの! それを無自覚にしちゃダメだよ!」
……同じ言葉を返します。



