「……どうしたの?」
「いや、声がよろしいなあと思いまして」
あたしは恋する乙女以前に
レオ君などの二次元を愛するオタクだ。
そして、久我くんもそれはよく知っている。
あたしがそう言えば、
苦笑いしながら「清家さんらしいね」って言うからこの手を使えばバレることはあまりないだろう。
「そうだ! あたしもマンガ持ってきたの」
あたしは『俺的人生論』というマンガを久我くんに渡す。
久我くんの声を録ったときのセリフもこのマンガから引用したもの。
小説もあって、来年の夏には実写化映画になる話題作だ。
「これ……懐かしいね」
懐かしそうに微笑む久我くん。
あたしと同じことを思い出したのかな。
「今でもあの久我くんの声聴いてるよ」
「やめてよ。恥ずかしい」
「ふふ、か~わいい!」
「だからやめてって!」
照れてる。やっぱり好きだなぁ。
久我くんのほっぺをつんつん触れてみる。
プニプニしてる……
あたしよりも肌よくないか……喧嘩売ってるのか。
ちょっとイラついて、久我くんのほっぺを更に強くつつく。



