『ごめん。清家さんの気持ちに応えられない』
やっぱりそうだなって思ってた。
久我くんがあたしを想ってないって薄々は気づいてた。
理由はいくらでも思いつく。
まず、第一にあたしが好きって言ったら
大抵久我くんは
「声が、でしょ?」とあたしに言うんだ。
あたしが全部と答えても、反応してるけどほとんど信じてないだろう。
実際に
『俺と似ている声ならいくらでもいるから……俺に固執しなくていいから』
って言われちゃったんだから……。
そして第二に、あたしの些細なことに気づかなかった。
例えばこの間やったメイクとか。
それは、普段の男の子にとっては難しいかもしれないけど、
同じクラスの男子だって女子にだって、皆自分のメイクに気づいてくれたんだ。
でも、久我くんは気づかなかった。
だからきっと、優しさをくれたのも、一緒にいてくれたのも、全部全部……
ただの友達に過ぎなかったんだ。