清家さんを連れ、やってきたのはいつの日にか訪れた社会科資料室だった。
「ここ、いつぶりなんだろう」
最後に来たのは、中学テスト以来だったっけ。
清家さんがボイスレコーダーで俺の声を録音しに来たんだよな。
でも、もうこの場所には来ない。
「あのさ……」
「ん? なあに?」
嬉しそうな顔。
そんな清家さんを見ていると、胸が詰まって、話すことをためらってしまう。
「ごめん」
俺がただ一言そう言うと、清家さんは不思議そうに首を傾げる。
「清家さんの気持ちに応えられない」
「…………え」
清家さんは信じられないのか、俺の方を一度見つめた。



