「恭弥も喜ぶと思うよ」
「本当!? ありがとう!
頑張ってみるね!」
化粧したら、こんなにも変わるんだ……。
何か、世界が鮮やかっていうか……新鮮に見えてくる。
「よし、頑張ろう!」
……って、気合い入れたのに
「もう放課後!?」
最悪ながら今日の移動教室で久我くんとすれ違うことはなかったし、
食堂にも行ったのに久我くんを見かけることもなかったし、
休憩の時に隣の教室に行ったのに久我くんと入れ違っちゃったし
何で、今日はこんなについてないんだろう……。
「彩葉ちゃん……またいつでも出来るから! 今日はしょうがないよ!」
「うん……そうだよね!」
そうだ、メイクはいつでも出来るよ。
でも……久我くんに会いたかったなぁ。
って、気持ちが沈んだその時。
「あの、清家さん!」
「えっと……」
そこには、知らない男子が立っていた。
「ちょっと来てくれますか?」
「あ、はい。
なっちゃんと高峯は先帰っていいよ」
断る理由がなかったので、あたしは彼の後に着いていった。



