「木下さんさぁ~」
この声……同じクラスの相楽さんだ。
あたしと離れてからなっちゃんと一緒にいる女子のひとり。
校舎裏のすぐそばに着いたあたしは、そーっと覗き込んで状況確認する。
なっちゃんは相楽さんを始めとする3人の女子に囲まれている。
相楽さんの右手にはバケツがある。
バケツの中身までは確認出来ないけど、あたしの予想だと、なっちゃんに水かけるためのものだ。
なっちゃんが壁に追いやられているから仲良く談笑ってわけでもなさそう。
じゃないと、こんなに険悪な雰囲気を出さないよね。
「やっぱりウザいわ。
なんで清家がまたオタクになってんの?
しかもオタクでそこまでモテるとか、最近の男子は意味分かんないわ」
は? なんであたし?
オタクなのは知ってるけど、あたしがモテるわけない。
あたし人生で告白されたの一度も無いから。
相楽さんの言葉を否定したくてしょうがないけど、下手に出るよりも、まずはしばらく見るだけにしよう。
後は、ケータイがあればいっか。
証拠とかに使おう。
そう思い、ボイスレコーダーのアプリを開いて録音を始める。
「木下さんも高峯くんがやたらと気にかけてくれるけど、調子に乗んなよ」
それって完全たる僻みじゃないか!



