「久我くん……今の秘密にしてくれる?」
清家さんはうつむいた顔をパッと上げて、俺に懇望をした。
「うん、分かった」
あまりにも表情が弱り果てていたから、俺はあれこれ考えることよりも早く諾した。
でも……
「なんで秘密にするのか教えてもらってもいい?」
聞いてみるぐらいなら大丈夫だよな?
と自分に言い聞かせて、今度こそ聞いた。
だって秘密にするものは、清家さんの本質でもあるオタクのこと。
さっきナンパ野郎に発言したものは、前の清家さんならよく言ってたのと同類だ。
「あ、そっか……学校じゃないから気が抜けてた。あのね、実は──」
意外にもすんなりと教えてくれた。
話をまとめるとこうだ。
清家さんはテスト前のある日に突然、木下さんに絶交されたらしい。
『なっちゃんはあたしのオタクなところが嫌いなんだって。あまりにも信じられないから自分の気持ちも伝えられなかった』と今にも泣きそうな顔でそう教えてくれた。
「じゃあ、バックとか持ち物を変えたのって……」
「うん。オタクを辞めたらなっちゃんとまた友達に戻れるかな……っていう僅かな願いかな」



