俺が廊下へ出てみても、清家さんは下を向いたままで俺に気づかない。
たったそれだけのことなのにとてつもなく清家さんにムカついていく。
俺は平穏無事だったらそれでいい。
清家さんに話しかけられないことは、俺がずっと望んでたことじゃないか。
なのに、なんで……嫌って思うんだろう。
「恭弥」
そこに移動教室に必要な教科書を抱えながら、清家さんの代わりに高峯がやってきた。
「高峯、なに?」
「今日、木下さんに何かあったか聞いてみる」
「うん、何もなかったらいいけど」
何もないわけないじゃん、と自分でツッコミを入れて。
清家さんがああなっているんなら尚更。
「……恭弥も気になるなら清家さんのところ行けば?」
「は?」
「だって今の恭弥、なんか不機嫌。
眉間にシワ、寄ってるけど?」
高峯に指摘されて、顔を逸らす。
「別に寄ってなんか……」
なんでシワなんか……元はといえば清家さんだ。
いきなりオタク辞めて、誰とも関わらなくなって、
急にモテ始めて、俺に話しかけなくなって……って意味分からない。



