「安藤、ありがとう!」


「お安いもんよ。邪魔してごめんな、木下」


「ううん……」



なっちゃんは、申し訳なさそうな、腑に落ちるような、両方取れる顔をする。


悪いのはあたしなのに……。


あたしの理解力のなさのせいなのに。



「なっちゃん、ごめん……」



なっちゃんに対して、罪悪感と心苦しさが止まらない。


なっちゃんの努力を踏みいじることしちゃった……。



「彩葉ちゃんは悪くないよ!
ほら、チャイムが鳴るからまた後でねっ」



無理に笑うなっちゃんにさらに心苦しさが増えていく。


なっちゃんはそう言うと、すぐに背中を向けて彼女の席に向かっていった。



それからも、あたし達はなんとなく気まずかったままで時間が過ぎていった。






「これは良い機会」



そんなあたし達を見て、

嫌らしく口を三角にして言う声は



なっちゃんのことを考えていたあたしには耳に入らなかった。