あたしはそれからまだ本屋で暇つぶしをしている。
今はアニメ化された小説が気になって、申し訳ないが店頭で立ち読みだ。
漫画とか雑誌は読めないように紐とかカバーとかされてるけど、純文学は普通に読めちゃうんだよね。
そんなことより……久我くんが気になる。
レジからちょっと離れたところにいるけど、久我くんはきっとあたしに気づいている。
あたしは本を読んでいる隙にちらりと久我くんを盗み見る。
久我くんのバイトが終わったのは、さらに2時間後だった────
「清家さん……? まさか待ち伏せ?」
「えっと……久しぶりだね!」
待ち伏せと言われたらそうなのかもしれない。
「久我くんに聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
「うん。だから、ちょっと時間いいかな?」
久我くんは頭にハテナマークを浮かべながらも、頷いてくれた。



