慣れた足で、漫画コーナーへ早速向かった。


「お、あった……」


漫画・最新刊のコーナーで目立つところに置かれてたのですぐ目当ては見つかった。


暇が持て余したので、漫画コーナーで何か面白いものがないか、上から下まで一冊一冊丁寧に見回した。



一通り見終えると、新刊を手にレジまで並ぶ。



「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしています」



前の人が終わったので、あたしも会計しようと新刊を店員に渡した。



あれ? この店員さんの声どっかで……


というか、あたしの理想の声そのものだ。



そんな人、ひとりしか知らない。



「いらっしゃいませ。
カバーお掛けになさいますか───あ」


「こんにちは、久我くん!
奇遇だね! えっと……」



夏休み入って2度目の突然の展開。


対応策とかまともに考えないあたしが口から出たのは



「ここでバイトしてるんだね」



という何とも普通の言葉だった。