「笹岡、今すぐ車出して!」

私は家に入ってからすぐに使用人の笹岡に車をお願いした。

「はっ、今すぐ。」

そう言って笹岡は駐車場へと消えた。
3分もすると玄関に車が停まる。

「椿さん、どこへ。」

私が車に乗るとすぐに声をかけてきた。

「藤乃宮家のお屋敷に。」

「はぁ!?…えっ、はい。」

笹岡は一瞬驚いたようだったが、すぐに我を取り戻したようだ。

「大切な大好きな後輩を…助けに行くの。」

車の中に私の小さな呟きが悲しく響く。
それを消し去るように車のエンジン音が鳴る。

心春、あと少しだから…あと少しだけ…待っていて。