あれから数週間が経った。
貴樹さんも薫さんも他の使用人の人も私を凄くよくしてくれていた。

けれど私にストレスは溜まるばかりで体力ももうなかった。

どうにかやっていけるのは、写真とあすりんのCD。

明日は高3生送別会、そしてあすりんの新しいシングルの発売日。

「誰か助けて。」

もし、今誰かが助けてくれたら。
その人は私がここにいる理由を知っている。

もし、助けられたら私は聖也さんのところに戻ることは許されるのだろうか?

私は聖也さんに嘘をついた、傷つけた。

私はきっと聖也さんの元に戻れない。
許されないよ、側にいる資格なんてない。

私はもう何も望まない。

ただ1つ願いが叶うのならば…
聖也さんに笑っていてほしいんだ。
聖也さんに幸せでいてほしいんだ。

そのためならば私の命だって何だって危険にさらせる。

出来るものなら私という人間が存在していたことを覚えていてほしい。